ロケ地紹介Part1

2008年9月、私は「崖の上のポニョ」のロケ地である広島県福山市の「鞆の浦」に行ってきました。
本当はDVD発売後の来年夏あたりに行こうかと思っていましたが、鞆の浦の埋立架橋問題が予断を許さない状況になっていると聞いたので、急遽今年中に行くことにしました。


新幹線に乗り、東京から3時間半ちょっとで福山駅に到着。岡山までは停車駅の少ないのぞみに乗りました。
福山駅から鞆の浦までは鞆港行の鞆鉄バスで移動します。バスの名称から分かると思いますが、福山市中心部から鞆の浦までは昔(1913年〜1954年)軽便鉄道が敷かれていたのです。


福山駅を出発して20分くらいすると、バスは海岸線を走り、目の前に海の景色が広がります。
フォークソング好きの私の頭の中では、すぐに山本コウタローとウィークエンドの「岬めぐり」が流れました。
岬めぐりの〜バスは〜走る〜♪ 窓に〜広がる〜青い海よ〜♪
向こうに見えるのは仙酔島です。


終点「鞆港」の1つ手前の「鞆の浦」でバスを降りました。「鞆の浦」バス停の正面には鞆の浦観光情報センターがあり、大橋のぞみちゃんが歌う主題歌が流れていました。写真右が主題歌を再生していたCDラジカセです(笑)。


センターの中では鞆の浦の名産が販売されていて、ポニョ関連のグッズもたくさん並んでいました。


店長さんが独自に作成した鞆の浦MAPです。ポニョの作中で鞆の浦のどこが参考になっているのか(またはそう推測できるのか)を解説しています。急遽決行しただけあって今回のロケ地探訪はリサーチ不足だったので、このMAPは大いに参考になりました。


鞆の浦観光情報センターを出ると、鞆の街を北側から観光しようと思い、北へと向いました。センターから100Mくらいの所に、宮崎監督が鞆の浦滞在時によく買い物をしたスーパーがありました。劇中にもスーパー「2TOMO」が登場しますが、建物の外観はそれほど似ていません。建物右側の屋根が弧を描いているあたりが若干似ているくらいですね。


ホテル鴎風亭です。2004年11月のスタジオジブリの社員旅行の際、多くのスタッフがこのホテルに宿泊されたそうです。

ポニョの本編では触れられていませんが、鞆の浦は非常に史跡の多い街でもあります。江戸時代まで、ここは潮待ちの港として瀬戸内海の重要な港湾拠点の1つになっていました。しかし、航海技術の発達により次第に拠点としての地位は低下していき、明治時代以降は半島の先端という地理的な条件から、どんどん開発から取り残されることになります。そのことが、この地に古い街並みや多くの史跡を残すことになったのです。


鞆の浦の一番北にある史跡は安国寺です。釈迦堂とその中にある木造阿弥陀三尊像、木造法燈国師坐像は国の重要文化財になっています(写真左)。堂前には石造地蔵菩薩像があります(写真右)。


安国寺を拝観し終えると、そこからは狭い路地を南へと向かいます。次の目的地は沼名前(ぬなくま)神社です。
ポニョの本編で、ポンポン船に乗る宗介とポニョが赤ちゃんを抱える婦人と出会いますが、そこへ大漁旗を掲げた船団がやってきます。その船団の旗の中に、「沼名前神社」の文字があります。


隋身門(写真左)と拝殿(写真右)です。沼名前神社は数ある鞆の浦の神社の中で最も歴史と格式があり、京都の八坂神社(祇園神社)の元社です。


鞆の浦最古の寺である静観寺(じょうかんじ)です。最澄により建てられました。


静観寺の近くには鞆中央公園があり、鞆の浦で沈没したいろは丸を模した遊具が設置されていました。


鞆の浦は江戸時代の風情を残しており、街の路地の多くが石畳になっています。写真左の路地の右側は林家(はやしけ)住宅という明治時代の豪商の建物です。林家の広い屋敷の中には鞆幼稚園が建っています(写真右)。


しまなみ信用金庫です。街の雰囲気に合わせてか、レトロな造りになっています。


鞆の浦にも老人福祉施設があります。江戸時代に建てられた商家を改装した「鞆の浦・さくらホーム」です。
「崖の上のポニョ」にも「ひまわりの家」というデイケアサービスセンターが登場しますが、ここがそのモデルになっているかは不明です。少なくとも建物の外観は全く違います。ただし、着想の元になった可能性はあります。


鞆の浦の名産の1つに「保命酒」という薬用酒があります。宮崎監督は、フジモトが大事にしていた「生命(いのち)の水」をこの「保命酒」から着想したのかもしれません。写真左が入江保命酒資料館で、写真右が太田家住宅です。


福山市鞆の浦歴史民俗資料館です。ここには昔鞆城がありましたが、1615年に取り壊わされました。
鞆城跡からの鞆の浦の眺めは素晴らしかったです(写真右)。


鞆の浦の中心街には、江戸時代や明治時代からの古民家を改装した喫茶店や飲食店がたくさんあります。
写真は深津屋という喫茶店で、宮崎監督はよくここに通っていたそうです。


こちらも古民家を改装したという田渕屋です。店の横に口から水が出ているポニョの蛇口がありました(写真右)。


また、店先のガラス張りの中にもポニョの姿が・・・(笑)。


実は、2004年11月のスタジオジブリの社員旅行の際、スタッフのうち数名が田渕屋の2階に宿泊したそうです。
店内にはスタッフが描いたイラストが飾られていました。


街中の至る所にポニョのポスターが貼ってありました(写真左)。また、いくつかの店舗では、ポニョを連想させる赤い魚が描かれた旗を店先に掲げていました(写真右)。この旗は「崖の上のポニョ」封切直前に登場したそうです。

以上、鞆の街の風景を紹介してきましたが、次のページでは鞆の海辺の風景を中心に紹介していきたいと思います。


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