「耳をすませば」用語集
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行
あ行
天沢医院 聖司の父親が開業している病院。映画では名前でしか登場していないが、原作では病院の建物が登場している。
天沢家 聖司の家族。家族構成の詳細は不明だが、聖司が映画では末っ子であること、原作では二人兄弟の次男であることが明らかになっている。
本作では猫に比べて存在感のない犬だが、登場する数では勝っている。通学路にある家で飼われている雫によく吠える犬、ムーンにからかわれていた犬、夕子の家で飼っている犬、エンディングで散歩している2匹の犬、合計で5匹登場している。
イバラード 画家・井上直久氏によって創造された世界観の総称。名前の由来は井上氏の出身地である大阪府茨木市。雫とバロンが飛翔するシークエンスと、バロンが自身とルイーゼの生い立ちを語るシークエンスの背景美術のモチーフとなっており、井上氏自身も当該シークエンスの美術の制作に参加している。
いろは坂 雫が市立図書館に向かう時に登っていた、丘の上へと続く曲がりくねった坂道。絵コンテに坂の名前が記されている。東京都多摩市桜ケ丘にスイッチバック方式の同名の坂道が実在している。
ヴァイオリン 擦弦楽器の一種。弓や指などで弦を振動させることによって音を出す。ヴァイオリンの誕生ははっきりしていないが、16世紀前半頃と言われている。作中で聖司の口から語られる通り、本体の形は約300年前、ストラディバリの時代に完成している。雫が「カントリー・ロード」を歌うシーンで聖司が弾いていた。
ヴァイオリン職人 聖司が目指している職業。日本ではヴァイオリン製作のみで安定した生計を立てるのは難しく、他の仕事と兼業であることも多い。
ヴィオラ・ダ・ガンバ 擦弦楽器の一種。「ヴィオラ・ダ・ガンバ」とは”脚のヴィオラ”という意味で、楽器を脚で支え、弓や指などで弦を振動させることによって音を出す。雫が「カントリー・ロード」を歌うシーンでは西司朗が演奏していた。16〜18世紀にヨーロッパで盛んに使用され、18世紀後半に一旦廃れたが、19世紀末以降の古楽復興運動により、現在は復活している。
ウサギ号シリーズ 雫が愛読している本のシリーズ。映画では「ウサギ号の冒険」と「ウサギ号 南へ行く」が登場している。原作ではこの2冊に加え、「ウサギ号 絶体の危機」、「ウサギ号の秘密」も登場している。架空の本のシリーズであり、実在はしない。
うどん 雫が自分の書いた物語を西司朗に読んでもらった後、2人で食べていた鍋焼うどん。卵、星型にカットされた人参、蒲鉾、長ネギ(の青い部分らしきもの)が入っているのが確認できる。聖司のヴァイオリンが完成した時はラーメンを食べていたらしい。
雲母片岩 結晶片岩の一種。岩石が熱や圧力などの変成作用を受け、地下深部で剪断応力を受けて雲母が再結晶することで出来る。西司朗が雫に渡した雲母片岩は、その色から黒雲母を主成分としていると思われ、中にエメラルドの原石である緑柱石を含んでいた。緑柱石の項も参照。
エルフの王女 地球屋にあったカラクリ時計の天球に現れる王女の人形。頭に花冠を乗せ、背中に半透明の羽根をつけている。普段は羊の姿をしているが、時計が12時の鐘を打つ間だけ元の姿に戻ることができる。ドアーフの王と愛し合っている。尚、彼女が登場する時に流れるBGMの曲名は「エルフの女王」である。
エンゲルス・ツィマー "Engels Zimmer"と綴り、ドイツ語で「天使の部屋」という意味。布張りの時に職人が偶然つけた細かい傷により、太陽光にあてるとバロンの眼は乱反射を起こして独特の輝きを放つ。
大栗川 市立図書館や地球屋のある丘の下を流れている小さな川。実在する川であり、八王子市鑓水を源流として北東に流れ、多摩市で多摩川と合流する。絵コンテには「大栗川」と記されてあるが、宮崎さんが本作の制作初期に描いた地図には「小栗川」と記されてある。
屋上 雫と聖司が通う学校の屋上。生徒の出入りが自由のようである。ここで聖司は雫に図書カードの秘密を打ち明け、イタリア行きが決まったことを告げる。
か行
貸出カード 本の巻末に収められている図書カード。その本を借りた人の氏名、貸出日、返却日が記録されている。雫は自分の借りた本の貸出カードに「天沢聖司」の名前が必ず記されてあるのに気づき、彼を意識し始める。
柏崎 夏休み中の汐の旅行先。汐と雫のオバが住んでいる。原作には登場しない地名であり、なぜ柏崎なのかは不明。近藤喜文監督の地元が新潟県なので、その縁で登場させたのかもしれない。雫の母・朝子が隣家のおばさんに柏崎産のメロンを渡すシーンもある。
カレンダー 雫の部屋にかけられているカレンダー。その日付から、「耳をすませば」の舞台は1994年だと確認できる。雫は物語を書き始めてからは、1日の終わりにその日の日付に×印をつけていた。
カロリーメイツ 物語を書いている雫が部屋で食べていたカロリーメイトのような食べ物。絵コンテに「カロリーメイ」と記されている。
カントリー・ロード 原曲はジョン・デンバーが1971年に発表した"Take Me Home, Country Roads"で、とある人物が故郷であるウェストヴァージニア州を懐かしむ内容のカントリーソングである。その後様々な歌手によってカヴァーされ、1976年にオリビア・ニョートン=ジョンが歌ったヴァージョンは本作のオープニング挿入歌になっている。
本作の主題歌は雫役の本名陽子さんが歌っている。当初は全く別のアーティストが歌う予定だったが、イメージアルバム用に録音した本名さんの歌声を宮崎さんが気に入り、主題歌も本名さんが歌うこととなった。訳詞は当初宮崎さんが1人で取り組んでいたが、イマイチ上手くまとまらなかったため、鈴木敏夫プロデューサーの娘で当時19歳だった鈴木麻実子さんに依頼して書いてもらった。結局、彼女が書いた詞を宮崎さんが手直しする形で訳詞は完成した。
給水塔 作中には2つの給水塔が登場する。1つは雫の住む団地の近くに建っている白くて四角い給水塔で、もう1つはラストシーンに登場する灰色の少し丸みを帯びた給水塔である。前者は多摩市愛宕2丁目の小高い丘の上に実在している。
教室 雫のクラスは3年5組で、校舎の3階にある。教壇はない。
霧のむこうのふしぎな町 物語を書くため、雫は図書館で調べ物をするが、その時目の前に現れた聖司が読んでいた本。これは実在する本で、1975年に柏葉幸子が講談社から発表している。後に宮崎さんは本書を原作とした映画化を構想し、それを断念している。しかし、企画は「千と千尋の神隠し」へと形を変え、本書の影響を受けるで映画化されている。原作には登場しない。
銀行 雫がムーンと一緒に電車で移動する際、「さくら銀行」の看板を車窓から確認することができる。また、駅を降りてムーンを追いかける雫が交差点で足止めをくらった時、「第一勧業銀行」が背後に映っている。両者の建物は位置的に一致しており、なぜ違う銀行名になっているのかは謎である。両者とも「耳をすませば」公開当時は実在していたが、さくら銀行は2001年に住友銀行と合併して三井住友銀行に、第一勧業銀行は2002年に富士銀行、日本興業銀行と合併してみずほ銀行になっている。
本作には歴代スタジオジブリ作品と比べてもたくさんの車が登場し、主人公の雫はよく車とぶつかりそうになる。原作では車はあまり登場しないため、映画化にあたって現代の街並みをしっかりと描くために意図的に車を多く登場させたと思われる。
クレモーナ 聖司がヴァイオリン修業のために渡ったイタリアの都市。ヴァイオリンの製作学校がある。イタリア北部のミラノ近郊に実在する都市で、人口は約7万人。16世紀から楽器製造が盛んな街であり、アントニオ・ストラディバリやグァルネリ一族といった著名なヴァイオリン製作者もこの地を拠点としていた。
1993年春、宮崎さんはフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭に参加した際、イタリアのクレモーナにもヴァイオリン工場の見学のために立ち寄っている。その後、制作スタッフもクレモーナのヴァイオリン工房を見学している。
京王電鉄バス エンディングで京王電鉄バスの一般路線バスが横切っていくのが確認できる。また、ムーンを追いかける雫が交差点で足止めをくらう時、京王電鉄バスの高速路線バスが横切っていく。しかし、このバスのロゴは
"KEI's Highway Express"となっている(現実では"KEI's"の部分が"KEIO"になっている)。また、このバスは東京と福岡を結ぶ高速バスであることが分かるが、実際に1990年10月12日から1999年1月18日まで「はかた号」としてこの路線が運行されていた。現在、「はかた号」は西日本鉄道のみが運行している。
京玉ストアー 杉の宮店 杉の宮駅のすぐ側に建つ大きな店。建物の側面の看板には「京ストアー」と書かれてあるが、屋上の大きな看板には"Keio"と書かれている。京王ストアは杉の宮駅のモデルになった聖蹟桜ヶ丘駅の南側に実在するが、外観は同駅の北側に実在する京王百貨店がモデルになっている。
京玉線 雫とムーンが乗っていた電車。京王5000系電車と6000系電車がモデルになっている。雫がムーンを追いかける時、「京線 杉の宮駅」という看板が駅舎に設置されているのが確認できるが、電車の側面のロゴは"KEIO"となっている。
高圧線 雫の住む団地の近くには高圧線が走っており、雫の部屋から外を眺めるほとんどのシーンで高圧線が映っている。
コーラス部 雫の友達である夕子、絹代、ナオが所属している。夕子はコーラス部の後輩のために「カントリー・ロード」の訳詞を雫に依頼している。
古楽器 音楽を担当した野見祐二さんのこだわりで、本作のBGMには古楽器が多用されている。聖司や西司朗たちが地球屋でセッションするシーンの「カントリー・ロード」のアレンジを依頼された野見さんは、演奏場所がヴァイオリン製作のアトリエであることから、古楽器を中心とした編成にすることを決める。結局、当該シーンではヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、コルネット、リコーダーの4つの古楽器にヴァイオリン、タンバリンを加えた計6つの楽器が登場することとなった。他にも、プサルテリウム、オーボエ・ダモーレなどの古楽器が本作のBGMで使用されている。
古楽器の多くは音量が貧弱なため、モダン楽器の登場とともに衰退していったが、19世紀末からの古楽復興運動により幾つかの楽器は復活している。
小鳥のヒナ 物語作りに悩む雫が見る夢のシークエンスに登場する、生まれたばかりで死んだ小鳥のヒナ。「早く、早く」とバロンの声に急きたてられるのは、聖司が帰ってくる日までに物語を完成させることができるのかという雫の焦りを、取り出した宝石の原石が死んだヒナに変わるのは、自分の中に物語を書く才能があるのかという不安を暗示していると思われる。
コルネット 雫が地球屋で「カントリー・ロード」を歌った時、西司朗の友人である南が2番目に演奏していた古楽器。本作に登場するのは木管のコルネットで、金管楽器として知られている近代のコルネットとは全く形状が違っている。
コンクリート・ロード 夕子から「カントリー・ロード」の訳詞を頼まれた雫が、ふざけて作った詞のタイトル。多摩丘陵の開発を皮肉った内容になっている。しかし、この訳詞の内容こそが雫が自分の故郷と向き合っていることを示しており、保健室で夕子たちに訳詞の完成版を見せるシーンへと繋がっていく。
コンビニエンスストア →「ファミリーマート」を参照。
さ行
雫の家 向原団地のとある棟の408号室が月島家の家である。父親が郷土史研究家というだけあって、至る所に本が山積みになっている。玄関から見て左手前が雫と汐の部屋、左奥が食堂と居間、右手前が風呂と洗面所であることが確認できる。右奥は確認できないが、恐らく両親の寝室だと思われる。食堂と居間の間にはふすまを通す溝があるが、ふすまは取り払われて1つの部屋のようになっている。居間は本棚によって2つに仕切られ、食堂側から見て右側は父親の書斎になっており、左側はちゃぶ台と座布団と箪笥が置かれていることから、このスペースのみ居間として使われていると思われる。
雫の部屋 雫と汐が一緒に暮らしていた6畳の部屋。二段ベッドで部屋を2つに仕切り、入口から見て右側が雫の、左側が汐のスペースになっている。汐が独立してからは、二段ベッドは部屋の左隅に移動させられ、だだっ広くなった部屋を雫一人で使っていた。
司書室 学校の図書室の横にあった小さな部屋。雫が「フェアリーテール」を借りる際、高坂先生が司書の作業をしていた。
シャープペンシル 作中、雫は6種類ものシャープペンシルを使用している。ヘッドホンを付けながら勉強していた時のオレンジ色のシャーペン、夏休み明けのテストで「開発」の文字を書いていた時の紺色のシャーペン、屋上で聖司にイタリア行きを告げられた後に授業中使っていた灰色のシャーペン、物語を書き始めた時と図書館で調べ物をしていた時などの紺色と薄紫色のシャーペン、英語の授業で先生に指名された時の濃い紫色のシャーペン、姉に引越を知らせられる時の紺色のシャーペンの6種類である。これらとは別に、鉛筆を使っているシーンもある。
市立図書館 市立杉の宮図書館。いろは坂の中腹に立地し、雫の父・靖也の勤務先でもある。読書好きの雫もよく利用している。売店と食堂も兼備していて、雫がここの食堂でサンドイッチを食べかけのまま本を読んでるシーンがある。
神社 作中には2つ登場する。1つは杉村が雫に告白して振られた神社で、もう1つは「カントリー・ロード」をセッションした後に雫と聖司が別れるシーンで背後に映っていた神社。もっとも、後者は鳥居だけが映っており、社殿は確認することができない。両社とも多摩市桜ケ丘に実在しており、前者は金毘羅宮、後者は山神社という名称である。
杉の宮 杉の宮駅を中心とした街。周囲が住宅街なのに対し、この一帯だけ大型の建築物が建ち並び、商業施設や金融機関が集中している。街並は聖蹟桜ヶ丘駅周辺がモデルになっている。
杉の宮駅 父親に弁当を届けるために電車で移動した際、雫が降りた駅。改札口に自動改札機が設置されている。駅舎は聖蹟桜ヶ丘駅がモデルになっている。
杉の宮高校 雫が進路先として志望している高校。汐の「あんた(雫)杉の宮受けるんでしょう」というセリフから分かる。実際にこの高校に進学したのかは不明。
聖司の自転車 坂道が多い街並にも関わらず、聖司は自転車を愛用しており、彼が自転車で坂を登るシーンは多い。これは宮崎駿さんが自転車レースの最高峰であるツール・ド・フランスの大ファンであることが関係していると思われ、実際、聖司が雫を乗せて急坂を登るシーンの絵コンテには「山岳ステージのウグルモフのアタック!!」と記されている。ウグルモフとは山岳ステージに滅法強かったラトビアのピオトル・ウグルモフ選手のことで、本作が公開される前年の1994年にはツール・ド・フランスで総合2位になっている。
制服 雫が通う学校の制服は、男女とも原作に登場する制服とほぼ同じデザインである。原作には夏服しか登場しないが、映画では冬服も登場する。
蔵書印 雫が学校の図書室で借りた「フェアリーテール」の巻頭には天沢家の蔵書印が押されてあった(沢という字は旧字体の”澤”になっていた)。雫はこれを手掛かりに本の寄贈者を探すこととなる。
た行
多摩川 オープニングとラストシーンを中心に登場する大きな川。絵コンテに「多摩川」と記されている。
多摩ニュータウン 雫と聖司が学校の屋上から眺めていた団地群。このシーンの絵コンテに「多摩ニュータウン」と記されており、宮崎さんが本作の制作初期に描いた地図でも向原中学校の向こう側の団地群に「多摩ニュータウン」と記されている。
タンバリン 雫が地球屋で「カントリー・ロード」を歌った時、西司朗の友人である南が最初に演奏していた打楽器。
暖炉 地球屋の1階の、ロータリーから入ってすぐの右手にある。雫が物語を見せに来た時、西司朗は暖炉で温まっていたが、その直前に地球屋の煙突から煙が出ているシーンがある。煙突は丘に寄っていたので、ロータリー寄りの暖炉の真上に設置されているわけではなさそうである。
地球屋 西司朗が経営しているアンティーク・ショップの名前。周囲が普通の住宅街なのに対し、地球屋だけヨーロッパ風の佇まいになっていて、異彩を放っている。建物は地階、1階、2階の3つのフロアから成る。地階はアトリエになっており、西司朗はここでヴァイオリン作りの教室を開き、聖司もここでヴァイオリンの製作に打ち込んでいた。ロータリー側から見れば地階だが、地球屋は丘の斜面に建っているため裏側は地上階になっており、いろは坂や杉の宮の街が一望できる。1階は地球屋の店舗になっているが、聖司いわく開店している方が少ないらしい。店内には沢山のクラシック家具や雑貨が並べられ、バロンの人形もここに飾られていた。2階は作中に登場しないため、どうなっているのか不明。
原作に登場する地球屋とは、建物の外観も店内の様子も全く違っている。映画に登場する地球屋のモデルは特に無く、店内の品物に関しては宮崎さんが大まかなものを考え、美術監督の黒田聡さんが家具屋や骨董品店などを見て参考にしたとのこと(「COMIC BOX」1995年9月号39-40頁に掲載されている黒田聡氏のインタビューによる)。
地球屋のバン 西司朗が愛用しているライトバン。西司朗が音楽仲間を乗せて運転していた時は左ハンドルになっているが、雫を家まで送った時は右ハンドルになっている。また、この2つのシーンでは微妙にデザインも異なっている。車が2台あるとも推測できるが、恐らく制作スタッフのミスであろう。ロータリーから見て地球屋の左側に大きな扉があるので、普段はその奥に駐車させられていると思われる。
テスト 原作にはテストのシーンは無いが、映画では雫たちが受験生ということもあってテストに関するエピソードが2つ盛り込まれている。1つは夏休み明けのテストで、恐らく夏休み中の学習の成果を試す課題テストだと思われる。もう1つは中間テストで、物語書きに夢中な雫はここで大きく成績を落としてしまう。点数は、国語T・82点、英語T・62点、英語U・54点、数学T・17点、数学U・31点、化学・39点、歴史・53点、公民・46点、合計・384点で、276人中153位だった。汐いわく「100番も落っことしてる」ということなので、普段雫は50位前後の成績であると推測できる。また、教科別の点数を見ると、雫は明らかに文系であることが分かる。
電車 →「京玉線」を参照。
天守の丘 いろは坂をショートカットする階段の横にある石碑と看板に「天守の丘」という文字が書かれてある。恐らく、地球屋やロータリーのある丘がこう呼ばれているのだろう。「天守台」と書かれた看板が多摩市桜ケ丘に実在している。
ドイツ 西司朗が戦前留学していた国。留学の目的は不明。原作では、貿易会社に勤めていたために日本とヨーロッパと行き来していたということになっている。バロンの故郷でもあり、西司朗は町のカフェで彼を見つけて日本に持ち帰った。
読書カード 生徒が各々保管している図書カード。雫が学校の図書室で「フェアリーテール」を借りる際、高坂先生に最初に渡したのが貸出カードで、カバンから取り出して後から渡したのが読書カードである。映画では具体的に何が書いてあるのか不明だが、原作では借りた本のタイトル、貸出日、返却日が記録されている。
時計 地球屋に置いてあった大きなカラクリ時計。あるお城で錆ついていたのを西司朗が引き取り、3年がかりで修理をし、雫が初めて地球屋に立ち寄った日に完成させた。後に売りに出され、雫と聖司たちが「カントリー・ロード」をセッションをした日に買い手のもとに届けられている。
図書カード →「貸出カード」、「読書カード」をそれぞれ参照。
図書館 →「市立図書館」を参照。
図書室 雫は市立図書館にもない貴重な本である「フェアリーテール」をここで借りている。夏休み中は閉まっているが、高坂先生に無理を言って開けてもらっていた。
ドワーフ ヨーロッパの神話や童話に登場する小人。地球屋にあったカラクリ時計の胴の中にドワーフの人形が格納されており、時計の針が12時1分前になると扉が開いて人形たちが動き出す。
ドワーフの王 時計の針が12時を指すと、文字盤の「[」の場所に現れるドワーフの人形。エルフの王女と愛し合っているが、住む世界が違うために一緒にはなれない。12時の鐘が鳴っている間だけ彼女と見つめ合うことができる。
な行
二段ベッド 汐は上段で、雫は下段で寝ている。雫の部屋の中央に置かれてあり、部屋を2つに仕切っている。汐の独立後は部屋の左隅に寄せられ、汐が使っていた上段は物置と化していた。
本作では重要な役割を担う動物。ムーンは雫を地球屋に案内し、バロンは雫の書く物語の主人公となる。ちなみに、原作者の柊あおいさんも猫好きである。
は行
バイオリン →「ヴァイオリン」を参照。
バイオリン職人 →「ヴァイオリン職人」を参照。
原田家 詳しい家族構成は不明だが、作中には夕子、父親、母親の3人が登場する。夕子は一人娘である旨が絵コンテに書かれているので、彼女には兄弟がいないか、いたとしても男兄弟のみである。
バロンのくれた物語 雫が書いた物語のサブタイトル。映画のタイトルと雫が書いた物語のタイトルがともに「耳をすませば」であるので、区別するために後者を「バロンのくれた物語」と制作スタッフは呼んでいる。また、「バロンのくれた物語」は劇中劇として映画の中に2度挿入されている。1度目は雫とバロンが空を飛ぶシークエンスで、2度目はバロンが自身とルイーゼの生い立ちを語るシークエンスである。両シークエンスとも宮崎さんが演出をし、井上直久さんのイバラードの世界が背景となっている。
半分だけの窓 「カントリー・ロード」のシングルCDのカップリング曲のタイトル。「耳をすませば」のイメージアルバムにも収録されている。雫の部屋は二段ベッドで仕切られているため、窓から見える景色も半分だけなのである。
ビオラ・ダ・ガンバ →「ヴィオラ・ダ・ガンバ」を参照。
飛行船 雫の住む団地近くの上空を飛んでる飛行船。原作にも登場しており、デザインがほぼ同じである。"HAVE A NICE DAY"というロゴがある点も共通している。雫の担任に呼び出された朝子が学校に向かうシーンの直前にも飛行船が映っていたが、その時はロゴが"GHIBLI"になっていた。
秘密の場所 ラストシーンで聖司が雫にプロポーズをした場所。杉の宮の街や多摩川を一望できる見晴らしのいい高台で、遠くには新宿の高層ビル群も見える。この場所からの景色は、読売ランドの鉄塔からの眺めが参考にされている。
ファミリーマート 雫が住む団地の最寄駅の近くにあるコンビニ。冒頭、雫はここで牛乳を買っていた。夕子との待ち合わせの場所にもなっているようである。
フェアリーテール 雫が夏休み中に学校の図書館で借りた本のタイトル。市立図書館にも置いてない貴重な本らしい。原作にも登場する。映画化された時点では実在しない本だったが、後に真島ヒロが「FAIRY TAIL」というタイトルのファンタジー漫画を発表している。両者に関係性はない。
プロポーズ ラストシーンで聖司は雫に「オレと結婚してくれないか」とプロポーズする。原作では「君が好きだ」という告白シーンになっているが、宮崎さんの意向で映画ではプロポーズへと変更された。
フンベルト・フォン・ジッキンゲン バロンの本名。綴りは文献がないので推測になるが、恐らく"Humbert von Sickingen"であると思われる。
"Sickingen"と"Hunbert"はドイツ語圏において現実に使われている姓と名であり、"von"は爵位を持つ人物の姓の初めに冠する称号になっている。実際、「バロン」(Baron)は英語で「男爵」という意味である。
この名前は原作には一切登場せず、映画オリジナルである。
ベッド →「二段ベッド」を参照。
弁当 本作で何気に重要な役割を果たしている。雫は父親の弁当を図書館に届ける際にムーンと出会い、地球屋の存在を知ることとなる。また、雫が通っている中学校には給食がないらしく、生徒たちは弁当を持参して昼食をとっている。
保健室 高坂先生の勤務先。学校の1階にある。高坂先生と親しい雫と夕子たちは、よくここで弁当を広げて昼食をとっているようである。
本作の最重要アイテム。本の貸出カードによって雫と聖司は互いの存在を意識することとなる。また、雫が読書好きなだけあって、作中には沢山の本が登場する。雫が読んでいるのは、本のタイトルからすると主に児童文学だと思われる。自分で物語を書こうと決意してからは、鉱物の資料や歴史書も熱心に読んでいた。
ま行
魔女の人形 雫の机の上にぶら下がっている小さな人形。シーンによって有ったり無かったりして、ぶら下がっている位置も微妙に変わっていることから、雫は時々この人形をいじっているようである。黒服を着て箒に乗っていることから、「魔女の宅急便」のキキを意識して描かれていると思われる。
迷いの森 雫が夢の中で「早く早く」とバロンの声に急きたてられて走っていた森のこと。当該シークエンスそのものを指すことも多く、ここで流れていたBGMの曲名も「迷いの森」である。元ネタは高畑さんの初監督作品「太陽の王子 ホルスの大冒険」におけるホルスの葛藤シーンで、宮崎さんはこの作品に場面設計として参加している。また、近藤喜文監督はこの作品を見てアニメーション業界に強い関心を持つようになった。
三沢 丘の上の住宅街の地名。雫がムーンを追いかけて車に轢かれそうになった時に映っている電柱で確認できる。多摩市の隣の日野市に実在する地名だが、関連性は不明。
耳をすませば 本作と、作中で雫が書いている物語のタイトル。原作者の柊あおいさんによれば、「耳をすませば」というタイトルには特に意味がなく、日常の言葉の中から心地の良いものを選んで付けたという。
向原駅 雫が住む団地の最寄駅。駅名は「むかいら」と読む。隣の杉の宮駅が自動改札だったのに対し、この駅はまだ有人改札である。杉の宮駅は聖蹟桜ヶ丘駅がモデルになっているが、それを基準にすると向原駅は地理的には百草園駅に相当する。駅舎の外観は異なっているが、すぐ横に踏切がある点、近くにファミリーマートがある点は共通している。
向原団地 雫が住んでいる団地の名称。向原駅の近くに建っている。宮崎さんが映画制作初期に描いた地図と絵コンテに団地名が記されている。多摩市の愛宕団地や東寺方団地がモデルになっていると思われる。
向原中学校 雫が通っている中学校。3階建てで、職員室と保健室は1階にあり、3階が3年生の教室になっているのが確認できる。夏休み中雫が入っていったのは学校の北側の裏門である。校舎とグラウンドの間には段差があり、桜の木が植えられている。
麦わら帽子 雫、夕子の2人が被っている。雫が被っているのは円筒形をしており、主に男性が被るカンカン帽であると思われる。紫色のハットバンドが付いていた。夕子が被っているのは普通の麦わら帽子で、薄紫色のハットバンドが付いていた。
ムタ ムーンの別名。夕子の家から帰る途中、雫は小さい女の子がムーンを「ムタ」と呼んでいるのを目撃する。後にスタジオジブリが映画化する、柊あおい原作の「猫の恩返し」にもムタという名前の猫が登場する。
めげゾウ 井上直久さんの漫画に登場するゾウのキャラクター。バロンが自身とルイーゼの生い立ちを語るシークエンスで、人形作りの工房の棚に置かれている。
や行
野球部 杉村が所属している。原作では1年生ということもあって球拾いをしているようだが、映画ではレギュラーを奪取しているようである。
やな奴 雫が聖司の本名を知らない間、彼に対して付けていた呼び名。初対面の時に嫌味を言われたため、雫の聖司に対する第一印象は最悪だった。
ヤマト運輸 作中、ヤマト運輸のトラックが3回登場している。ヤマト運輸は「魔女の宅急便」の製作に名を連ねているのでスタジオジブリとは縁があるが、「耳をすませば」の製作には関与していない。
夕子の家 雫の家は狭くて雑然とした団地の一室だが、それとは対照的に夕子の家は広くて綺麗な一軒家である。玄関を入って左手がリビングで、階段を昇ってすぐの左手の部屋が夕子の部屋である。
夕子の部屋 広くて綺麗で、いかにも女の子の部屋といった感じである。床はフローリングになっており、壁紙は花柄になっている。ベッドはオシャレで、可愛いクッションやぬいぐるみがあり、観葉植物も置かれてある。雫の部屋とはあまりにも対照的である。
ら行
ライオンイモムシ 夕子の部屋にあった、ライオンの顔をした抱き枕のようなぬいぐるみ。雫がだっこしていた。絵コンテに「ライオンイモムシ」と記されている。
ラッコのマーチ 汐が柏崎から帰って来た時に雫が食べていたスナック菓子。名前の由来は「コアラのマーチ」だと思われるが、パッケージのデザインは全く違っている。
ラピス・ラズリ 12月の誕生石の1つである宝石。青金石を主成分しているため深い青色になっており、しばしば黄鉄鉱の粒を含んで夜空のような神秘的な輝きを放つことがある。エジプト、メソポタミアなどでは古代から宝石や守護石として珍重されている。
ラピス・ラズリの鉱脈 「バロンのくれた物語」では、雫とバロンがラピス・ラズリの鉱脈を探す旅に出る。その目的は明らかにされていない。
ラブレター 夕子が他のクラスの男子生徒から貰ったラブレター。その男子生徒は杉村の友達らしい。原作では杉村の野球部の先輩・山崎が夕子にラブレターを渡したことになっている。尚、原作では夕子や杉村は雫と同じく中学1年生で、山崎先輩は中学3年生である。
リコーダー 雫が地球屋で「カントリー・ロード」を歌った時、西司朗の友人である南が最後に演奏していた古楽器。諸説あるが、14世紀中頃に北イタリアで発祥したと考えられている。16世紀初頭にはほぼ形が完成し、16世紀から18世紀にかけてヨーロッパで盛んに使われた。モダン楽器の登場とともに一度衰退したが、20世紀に入ってイギリスのアーノルド・ドルメッチによって復活させられた。
リュート 雫が地球屋で「カントリー・ロード」を歌った時、西司朗の友人である北が演奏していた古楽器。撥弦楽器の一種で、弦を指ではじくことで音を出す。アラビア起源と言われ、11世紀に十字軍の遠征によってヨーロッパに伝わった。12世紀から18世紀にかけて、貴族階級を中心に親しまれてきたが、貴族の没落と音量の貧弱さにより18世紀に衰退する。しかし、19世紀末以降の古楽復興運動により、現在は復活している。
緑柱石 ベリリウムという金属元素を含む六角柱状の鉱物。アクアマリン、ヘリオドール、モルガナイト、レッドベリルといった宝石の原石を含んでいることが多い。純度の高いものはゴシェナイトと呼ばれ、無色透明である。作中に登場するのはエメラルドの原石を含んでおり、緑色に輝いていた。エメラルドはクロムやバナジウムを含むため、緑を帯びる。
牢獄でヴァイオリンを作る職人 物語を書くために図書館で調べ物をしていた雫の目に止まった木版画。この木版画を制作したのは宮崎さんの次男で版画家の宮崎敬介氏である。
ロータリー 地球屋が面している丘の上のロータリー。真ん中にヒマラヤ杉が植えられている。多摩市桜ケ丘に映画に登場するそれより大きなロータリーが実在する。
わ行
ワープロ ワードプロセッサの略。普段は父親の書斎に置かれ、父親の郷土史研究や母親の修士論文の作成のために使われている。月島家にあるのはワープロ専用機だと思われ、キーボードで文字を入力し、活字でプリントアウトできるシステムになっている。ワープロ専用機は1980年代に普及し、1990年前後に売上がピークに達した。奇遇にも、本作が公開された1995年に"Microsoft Windows 95"が発売され、PCの普及率が急上昇し、これに伴いPCにインストールできるワープロソフトのシェアが拡大した。加えて、安価な高性能プリンターが登場したことでワープロ専用機は需要が無くなり、2001年に製造中止となった。「耳をすませば」の舞台は1994年なので、まさにワープロ専用機が最も一般家庭に普及していた時代なのである。
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